『ユルリナ』は、「つくりたいときにつくる」という気まぐれペースで発行しています。できるだけ長く続けていきたいので、ノルマのように短いスパンで作るのではなく、伝えたい物事が頭の中で浮かんだときだけ「本」というかたちにしようと思っています。とはいえ、基本的にぐうたらな性分なので、それなりに自分でお尻を叩かないとまったく動かなくなってしまうのが欠点…。日頃から『ユルリナ』のことを頭の片隅で意識するように、1冊のノートをネタ帳として持ち歩いています。
『ユルリナ』では、日々のささやかな発見や楽しみを伝えたいなと思っています。今まで、「喫茶店」「パン」「スプーン」「北欧旅行」などを特集テーマとして取り上げてきましたが、どのテーマもほんのちょっとのきっかけから「本」にしようと思ったもの。地元に新しく出来たパン屋さんがとてもよかった → 「そうだ、気になるパン屋さんを紹介しよう!」。ものづくり市で買ったある作家さんのスプーンに一目惚れ→「スプーンのかたちってかわいい!」…などなど。ちなみに、近日発売の『ユルリナ05』は焼菓子の特集なのですが、これは友人からいただいたクッキーの詰め合わせを見て、「きつねいろの焼菓子って素朴でいいな」と思ったのがきっかけ。日々の暮らしのなかから、『ユルリナ』が生まれていきます。
さて。特集テーマが決まり、紹介したい場所や人などが少しずつ具体的になってきたら、わたしの場合はまず「台割」というものを作ります。『ユルリナ』は印刷所へ印刷をお願いしているため、この「台割」はとても重要。出版や印刷業界の方ならご存知だと思いますが、「台割」とは1冊の本の中でどの企画がどの場所にどれくらい入るかを記入した設計図のようなもの。一度に印刷機にかけられる8ページ、16ページなどの一定のページ数を「1台」として、全体のページ数を決めたり、内容を決めたりしていきます(この辺はちょっとややこしいので、初心者の方は印刷所へ聞いてみてくださいね)。

「台割」ができあがったら、いよいよ取材へ。取材をお願いしたい方々へ、電話やメール、もしくは直接お会いするなどしてアポを取ります。…さて、ここまでつらつらと書いてきましたが、実はここまでがとっても長い道のりなんです! 「台割」である程度全体の流れが決まっても、取材で何を聞いて、どういう写真をどれくらい撮って、どういうデザインにするか…という計画が出来ていないと、取材のお願いすらできない小心者なわたし。そのため、事前のリサーチにはできるだけ時間をかけるようにしています。身近な場所であれば足を運んでお店の人にお話を伺ってみたり(この時点ではまだ名乗りません! ←小心者)、遠方ならばインターネットや雑誌などで情報を仕入れるなどして、頭の中でどんな取材をすればよいかをひたすら頭の中で妄想…。そして、頭の中での計画が出来上がったらようやく、取材したい方々へ連絡を取りはじめます。
でも、『ユルリナ』は個人がつくっている小さな本。今はすでに何冊か発行しているので「こんな本を作っています」と説明できますが、はじめた頃は説明するのもひと苦労でした。「どんな本を作るの?」と聞かれても、うまく言葉にできなくて悩んだことも。行き当たりばったり、悩んだり失敗したりの連続でした。いや、失敗は今でも多々ありますが…(ため息)。
無事に取材のアポが取れたら、ノートとペンとカメラを持って取材先へ。『ユルリナ』では“情報”ではなく、その場で感じた空気や匂いを伝えたいと思っているので、取材と言ってもいつもの散歩のようにふらっと訪れて、取材先の方とおしゃべりを楽しむようなスタイルをとっています。
特集テーマによっては、自宅で撮影をすることもあります。最新号の『ユルリナ05』では、取材先で購入した焼菓子を自分でスタイリングして撮影しました。

スタイリングといっても、完全に素人の領域。おまけに、かわいい布や小物をたくさん持っているわけではないので、毎回頭を悩ませます。あのお店のあの小物があったらなあ〜なんて妄想しつつも、1枚の写真のためにわざわざ購入するわけにもいきません。でも、自分の本だと思うとなかなか妥協はできず、つい奮発してしまうことも…。できるだけ限られた経費の中でやりくりするように心がけていますが、こだわりだすときりがありません。
取材や自宅での撮影など素材が少しずつ集まってきたら、いよいよデザイン作業に入ります!


