お手紙 では、2曲目の「Raspberry」に行きましょうか。今回のアルバムのタイトルにもなっていますね。
影山 はい。これも1曲目の「little bird's tale」と同じようなきっかけで、去年の花市の時に作ったものです。初めてこの時に、何かのために曲を書こうかなと思ったんですね。一昨年の秋に初めてもみじ市に参加して、そこでいろんな人たちと知り合いになって。そして引き続き次の花市にも参加させていただけることになって。作家さん達は陶器を作ったりなど出来ますけど、僕たちが出来るのは音楽なので、曲を作ってみようかなと思ったんです。花市は春に行なわれるから暖かくなってくる頃かなぁなんて思いながら、散歩しながら作りました。
お手紙 おー。散歩ですか。
影山 そうですね、散歩しながらでしたね。作ると言ってはみたものの、すぐには出来ないので散歩でもしてみましょうと思って。
お手紙 そんな感じが出ていますよね。軽快な感じというか。
影山 散歩しながらメロディが出来てきて。けれど、これはすんなりと出来た訳じゃなくて、ちょっとずつちょっとずつ継ぎ足すようにというか、段々段々出来てきて。それで、ちょうど花市の1週間前だったんですけど、花市に参加される方たちが集まる機会にライブをさせていただくことになって。継ぎ足すようにして、その曲が出来上がったのがそのライブの当日。当日お昼くらいに出来たんです。
お手紙 そうだったんですか!
影山 はい(笑)。「出来た!」って思ったんですけど、その時は自分の中で出来ただけだったので、友加さんに伝えないといけないので、昼に楽譜を書いて。
友加 練習してね。
影山 そうそう、練習して。せっかくみんなが集まるので、じゃあ披露しようってことにして…。自分たちでも、演奏してみないとイメージがきちんとつかめなかったけど、自分たちの中ではこれで完成かなって思ったので。花市の当日も演奏してみたら、とっても気持ちがよかったですね。
友加 ね。気持ちよかったね。
影山 ちょうどお天気も良くて、桜の季節で。そしてちょうど桜が散る頃で。その散り際な感じが楽しいイベントが終わっていく風景を表しているような…。この曲もたまたまだけど、そんな雰囲気になって。
友加 ね。

お手紙 初めて聴いたときに、今までのtico moonさんの曲とはちょっと違う曲だなって思いました。
影山 確かに違うかも知れません。
お手紙 この軽快感! メロディもすごく素敵。
影山 多分今お話ししたようなことがなかったら、こういう雰囲気の曲にもならなかっただろうと思いますね。
友加 いつもメロディを大事にしているんだけれど…。この曲はメロディを大事にするんだけれども、大事にされてる感じもする。こっちが大事にして弾いてるから綺麗に音が出ていくというよりも、自然にこう…柔らかくというか、綺麗に優しく音が出ていく感じがして、この曲を弾くのは気持ちがいいですね。
お手紙 楽しさと切なさと両方を喚起させるメロディですよね。名曲ですね。
友加 名曲ですね。ふふふ。
影山 ありがとうございます!「Raspberry」というタイトルは、甘い感じと酸っぱい感じが混ざっている感じかなぁと思って。そしたらね、ジャケットも松尾ミユキさんが素敵なラズベリーを描いてくださって。
友加 ねー! かわいいですよね。
影山 しかも図らずも、裏には鳥が一羽いるんですね。松尾さんには何もお話していないのに…。ジャケットは今回音を聴いた感じで、お任せしますっていうことだったんです。
友加 毎回、松尾さんにはそんな感じでお願いをしています。今回も本当に聴いて感じた雰囲気で…ということでお願いしていました。松尾さんからメールを頂いたんですけども、音が上に上に向かって広がっていくようなイメージを10曲聴いて感じたと。そんなイメージで絵を描きましたと、言って下さいました。
影山 録音は5日間の中の3日目の最後のセッションで録ったんですけど、友加さんが本当に素晴らしい演奏をしてね。すごくよかった。僕も聴いてびっくりしました。
お手紙 そういう時は演奏している最中に、もう、わかるんですか?
友加 演奏している時に自分が弾いているんじゃなくて、ヘッドホンから音が聴こえてきている感じになるんです。弾いているからヘッドホンから音が聴こえるんじゃなくて、なんかこう…自然に音が先に聴こえてくるような。そんな気持ちになってきたりします。
お手紙 すごい! それは影山さんも?
影山 まぁ、そうですね。いいなぁと思ってプレイバックを聴いてみると、実際よかったりしますね。
お手紙 いいレコーディングだったんですね。
友加 やっぱり1曲目と2曲目をこの順番にしたいなっていう感じがあったので、いいテイクを録りたいなっていう気持ちが、特にこの2曲に関してはありましたね。
影山 あとはゴローさんのサジェスションも助かりました。
お手紙 ゴローさんはそういう時にどういうことをおっしゃるんですか?
影山 テイクの善し悪しを判断したり、演奏の上で気をつけるところを教えてくれたりですね。ここのリズムが早くなるから気をつけてとか。
友加 あとはチューニングが気になる所があったら教えてくれたり。
影山 いろいろ細かい所もあるし、アレンジの部分もあるし、もっと大きな視点から判断してくれる事もあるし…。2人だけだと分からないことも多いですからねぇ。
お手紙 この曲はレコーディングの前にライブでいつもやっていましたよね。やっぱりやっていくうちに少しずつ熟成していくみたいなところはあるのでしょうか?
影山 そうですね。ライブでやっていると、ライブでうまく演奏できた記憶みたいなものが残っているから、レコーディングで、もうちょっとよくできるはずとか思ったりしますね。
友加 そうですね。それを越えたいって思うから。
影山 そういう所は逆に主観的ですよね。いいか悪いかわかりづらいって所ではありますけどね。このテイクはすごくよかったと思います。
友加 うん、よかったと思います。
お手紙 この曲は構成も完璧だと思うんですね。メロディの展開とか、旋律がオクターブ低くなるところとか、友加さんのハープだけになるところとか。
影山 ありがとうございます。構成はいろいろ考えたりしましたね。曲にストーリーがあったらいいかなって思うんです。起承転結のような。ストーリーが、1曲の中で簡潔に表現出来たらなって。やっぱり3分か4分で表現できたらいいですよね。ビートルズの曲はほとんどが3分位だけど、その中に物語があってとても好きなので…。
お手紙 なるほど。素晴らしいですね。
お手紙 この曲も3拍子ですが、そういうのは自然に?
影山 3拍子好きなんですよね。
友加 今回3拍子多いよね。
影山 なぜだか分からないんですけど、ワルツが好きなんですよね。
友加 3拍子いいですよね(笑)。
影山 なんでですかね。ミュゼットとか好きだったからかな。
友加 気にしないで作って、「あっ、3拍子だ」って思ったりするよね。
お手紙 tico moonさんの曲は全体的にマルのイメージがあります。
影山 そうですね。円のイメージが浮かぶかもしれないですね。「いちにさん」で上る感じがね。ありますね。

