お手紙 tico moonさんのニューアルバム『Raspberry』が7月4日に発売されましたね。おめでとうございます!
tico moon ありがとうございます。
お手紙 今回はですね、収録されている曲について、おふたりに自ら解説いただければと思っています。どうぞよろしくお願いします。
tico moon はい!
影山 今回、久しぶりにアルバムを作ったんですが、沖縄に行って録音してきました。
お手紙 沖縄に行ったのは?
影山 2月ですね。
お手紙 アルバムを作ることが決まったのはいつごろなんですか?
影山 作る、という話は、前からずっとありました。レーベルには「曲が揃ったらアルバムを作ろう」ということで、待っていただいて、その間に曲を作って。それで、曲が揃ったので2月に沖縄で録音しよう、ということになりました。今回、わりと明るい曲が多かったんですね。だからというのもあって、沖縄で…。
友加 寒い時期に暖かい場所へ行って…。
影山 やっぱり場所によって楽器の鳴り方が変わるし。生楽器なので精神的なこととか、気分が変わったりするのもあるし。ということで行って参りまして。
友加 行って参りました。
お手紙 何日間ですか?
影山 正味5日間で10曲。1日2曲のペースですね。わりとこう…スムーズにできました。沖縄には(今回のCDのプロデューサー)伊藤ゴローさんも一緒に行って。あと、エンジニアの藤井暁さんと共にずっとスタジオにこもって。
お手紙 海辺が見えるガラス張りのスタジオでやっている、っていうイメージがあるんですけど?
影山 そうなんですよ。本当に海に面しているスタジオで。
お手紙 スタジオから海が見えるんですか?
影山 僕たちが録っていたスタジオからは見えないんですが。
友加 休憩時間とか外に出て気分転換をしたり。
お手紙 沖縄では、音は明らかに違う感じがしましたか?
友加 録っている時は全然わからなくて、でも録り終わって東京に戻ってきてから聴いてみたら、違うかなって。
影山 そんな気はしました。
お手紙 なるほど。気持ちも全然違いますか?東京のコンクリートジャングルを抜けて…(笑)
影山 (笑)。泊まったホテルがリゾートホテルで、プライベートビーチもあるような素敵なホテルで。空港に下りた時にも思ったんですけど、外国っぽい感じがして。ヤシの木があったりとか。そこから、もう違ったし。そのホテルが沖縄の街からも隔離されているような、離れた場所にあったんですよね。門からホテルまでもだいぶ離れていて。
友加 ホテルに入ったら、みんなホテルの中で遊んで、外には出ないという。
影山 気分が完全にリゾートに行っている、というんですかね。いつもと環境が全然違ったので、すごくよかったですね。
お手紙 素晴らしい!すごくよかったと…。
tico moon はい!
友加 楽しかったです。
お手紙 1曲ずつ紹介していただく前に。おふたりの中で、このアルバムを通しての全体のイメージというか、思いというか。そういうものはあったんでしょうか?
影山 その時にあった曲を並べたアルバムではあるんですけど、並べてみると自分でもバランスがとれてるなっていう。カバーの曲は2曲とも伊藤ゴローさんの選曲だったんですが、カバーが入ることによって、オリジナル曲との対比とかバランスもよくなったなって。あとは、ちょうど曲を作っていた頃ですかね、初めて「もみじ市」に出たのが。だいたいそのくらいかなぁ。この中の曲ができ始めたのが。で、それから「花市」、「もみじ市」と3回ありましたね。そこで、その為に曲を作らせていただいたり、そういうことができたので、「もみじ市」に参加させてもらったことは、大きな影響があったと思います。そこで知り合った人だったり、イベントだったり、つながりだったり、そういうのがあってできたことが、具体的でなくても、刷り込まれているような。
友加 アルバムを通して、いつもより楽しい気分になるような…。
影山 いつも楽しいですけどね(笑)
友加 あっ、じゃあ「明るい」って言うほうがいいかな。
一同 (笑)
お手紙 では、1曲ずつ解説をお願いしていいですか。
tico moon はい。
お手紙 まずは1曲目の「little bird's tale」ですが、この曲は、おふたりの共作ですね。
tico moon はい、そうですね。
お手紙 ふたりで一緒に作ったのですか?
友加 去年の「もみじ市」のテーマが「旅」だったので、その時に旅をテーマにして曲を作りたいなぁと思って。
影山 ふたりとも同じように思っていたんですよ。僕も家でモチーフを自分で作っていて、友加さんもたまたまなんだけど、同じ日に作っていたんですよ。両方ともそれぞれ別個にモチーフを録音していたんですね。
友加 それで、わたしは影山さんに弾いてもらいたいモチーフと自分で弾きたいモチーフとメロディを録って、影山さんに聴いてもらって。
影山 僕が先に聴かせてあげようかと思っていたんですよ。それが先に友加さんのを聴かされてしまったという…。
一同 (笑)
影山 そしたら、それがすごくよかったんですよ。それで、僕はとりあえず聴かせるのをやめて。「あっ、これはすごくいい」と思ったんで。たまにあるんですけど、聴いた瞬間にすぐにその先のイメージみたいなものが広がって。
友加 すぐその先をね。
影山 そうそう。すぐその先が浮かんできてね。モチーフを広げて、曲にしたんです。結構できあがるのが早かったですね、この曲は。ひらめいたというか。しかもやっぱり作ってみると、旅というか旅立ちですね。何かこう小さいものが大きいものに向かって飛び立っていくような。まだ力は及ばないかもしれないけど、旅立っていくような。そんなイメージがあって。
友加 飛び立つようなね。
影山 うんうん。それで、やっぱり演奏してみたらぴったりで。だから、このアルバムの1曲目になっているっていうのは、そういう意味もあって。何かを始めるとか旅立つとか、そういうイメージがあったので。
お手紙 羽ばたく感じがしますよね。
影山 そうですね。そういうイメージが明確にあった曲ですね。
お手紙 出だしの部分が友加さんのモチーフ?
友加 そうですね。
お手紙 おー。すごい。
影山 本当に友加さんのモチーフがよかったので、自分の曲よりこっちのほうがいいじゃんって。まぁ、それは置いておいて(笑)。しかも同じ日に作ってた、っていうのがびっくりでしたね。
お手紙 へぇ。
友加 勝ちました(笑)。
影山 勝負じゃないんだから(笑)

お手紙 「もみじ市」の時、友加さんはゆかムーンとして鳥の布小物を作ってましたよね。タイトルとか曲のイメージとかは、ゆかムーンの“渡り鳥”と関係しているのですか?
友加 その渡り鳥のイメージがありながら曲を作ったから、なんとなく鳥のイメージはあったんですね。でも、鳥をタイトルにするのに苦労をして、で、影山さんがこのタイトルを考えてくれました。
影山 僕も鳥のイメージが強くて。
友加 でも、最初は通称「もみじ」にしてたんですよ。仮タイトル「もみじ」。
お手紙 そうでしたよね。
影山 そうそう。でも、そしたらみんなが「もみじ」でいいじゃんってなってきちゃって。
友加 でも、始めにもみじではなく、旅のイメージで作っていたので、ちょっとドキドキして、もみじになったらどうしようって(笑)。それでもよかったのかもしれないけど。でも、どうしても旅のイメージを残したいなぁと。
影山 録音する時も、1番大変だったね。
友加 そうだったね。
影山 1回録音したけど、イマイチ自分達の演奏に納得出来なくて、最後にもう一度録り直したいと申し出て。1番最後の日の最後の時間に録ったんですよ。
お手紙 そうなんですか!
影山 そうなんです。スタジオが7時くらいまでだったんですけど、5時くらいだったよね。これでおしまいくらいな。どうしようかなって思っていたんですけど、友加さんが「わかった、やる!」って言ってね。
友加 うん。集中して。やっておかないと…。
影山 友加さんの最後の集中力、すごかったよね。ものすごくいい演奏を聴かせてくれたんですよ。
お手紙 なるほど。レコーディングの時も、演奏するのはおふたりだけで?
影山 だいたいそうですね。今までずっと。アルバムは今回で5枚目になるんですけど、あくまでもふたりだけでやっていこうかなっていうのがあって。ゲストの方を入れたりとか、そういうのもいいかなと思ったりするんですけど、ここまでふたりでやったら、できるところまでふたりだけでやってみたらいいかなって。
友加 とりあえず頑張れるところまではやりたいよね。
影山 ね。そうするとふたりで一緒にやるしかないっていう。でもそれはそれで大変なこともあるもんね。バンドでやりたい演奏もあるけど、ふたりだけでやりたい演奏もあったりして。あと、アレンジにしてもふたりだけでやっているとなかなか変化もつけにくいんで、でもそれを工夫したりとか。曲の2番からドラムが入ったりとか、そういうことができないんでね。そういうのもやってみたいとは思うけど、今はそこまでやらなくても…。
友加 なくて大丈夫って自分たちで思える限りは、そのままのほうがいいかなって。
お手紙 ゆかさんは、最初に自分のモチーフを影山さんに渡して、それが曲になるっていうのはどんな感じですか。
友加 もうわたしはモチーフを渡して、そのあとに影山さんが続きを作ってくれた時点で「ああ、よかった」ってほっとするので。たまに作って持って行っても続きを作ってくれないで、聴いていないような時もあるので(笑)。
影山 聴いてますよ、聴いてますよ。
一同 (笑)
友加 今回のこの曲はすぐに続きを作ってくれたので、これに関しては「ああ、よかったんだ」って思えて。で、そういう時はその後の流れも、あんまり考え込まないでいい流れで綺麗に進んでいくので。だからできあがって練習してみて、すごくよかったなって。いい曲ができたなって。うん、よかったなって思いましたね。
お手紙 自分が最初を作った曲だから、最後まで全部作らせろ、みたいなのはないんですか?
友加 ないですね。ここまででお願いします!っていう(笑)。
影山 友加さん、たくさんモチーフを持っているんでね。後から聴いてみてよかったりするのもあるし。だから録音したり譜面になったりして、それでいい曲になったりすることもあるから。たくさん作っているのはすごいなって思いますね。そんなにたくさん作るのはなかなか難しいと思うんでね。
友加 いやいや。なかなか1曲全部は作れないってだけで。
お手紙 思いつくんですか、そのモチーフは。
友加 なんかこう、思いついていく時もあるし、弾いているうちにそういうふうに出来上がっていくこともあるし。
お手紙 この曲には、朝のイメージもあるんです!
友加 いつも曲を作っていて、自分たちのイメージもあるけど、聴いた人がいろんなそれぞれのイメージを持ってくれたり、あと、聴く日によっても違うかもしれないし、自分たちの体調によっても違うかもしれないけど、何か感じてくれるところがある音楽が作れたらいいなぁって思っています。
影山 そうだね。歌詞がないから余計にいろんなイメージを持ってもらえるんじゃないかな。そうしてもらえたら嬉しいですね。

