岡尾 なんでもできる人がスタイリストをできるわけではないんです。不思議なんですけどね。でもなにかがひとつできるとかね。それが大事。
ゴロー 岡尾さんのそれはなんだろう?
岡尾 なんでしょう…雑貨は好きですね。
ゴロー ふーん。そうか。一番大事なことは体力だったり?
岡尾 体力というか気力というか。ゴローさんも同じだと思うんですけど、信念?! 「こういうのを形にしたい」みたいな夢ですね、そういうのを持ち続けられるかどうかっていうところかな。やりたいことがなくなると、さっきのゴローさんの広告代理店の話じゃないですけど、なんとなくやっていることと、目標をもってやっていることというのは全然違うと思うから。
ゴロー 仕事のアイデアというか、そういうのは、岡尾さんはいつも頭の中にある?
岡尾 ある日、頭に浮かんでくるかな。考えているうちに絵とか落書きとか書きはじめて…。あとはなんとなく。
ゴロー 仕事以外の時間ってなかなかないと思うけど、自分で意識的にいいなと思うものって頭に刻んだりして貯めているの?
岡尾 そうですね。それがなくなるとやっぱり大変ですね。イメージとか好きなものリストが頭にあります。あとは写真集とか好きですね。本屋さんに行くと帰れなくなるくらい(笑)。
ゴロー 自分が音楽を作るとき、いろんなアイデアがあって作業するじゃないですか。でもそのやりたいことは半分もできたら、もう今日は無理だなっていうか、結果が出てこないことってあるじゃないですか。岡尾さんはどうですか? 自分のアイデアを形にするのって。
岡尾 例えば撮影で、ここにお饅頭を置きたいって思っていても、お饅頭がなかったりすると、そこで方向を変えていかなきゃいけないので、イメージしていたものとほとんど変わっていって最初と違うものになるけど、考えていくのも楽しいみたいな。成り行き!?(笑)
ゴロー それわかる! 岡尾さんの仕事だと1日で完成させないといけないから。現場でどんどん対応していくというか、ここにお饅頭を置きたいのに、ないからどうしようとか言っていられなくて。そのお饅頭の代わりに違うものを置いてまわりを納得させるものがないとね。
岡尾 ハッタリ?!みたいな気がするけど(笑)。

ゴロー 悪く言うとそうですけど説得力があるから、お饅頭じゃなくてもいいんだよってことになるんだと思う。スタイリングする上で“岡尾印”みたいなものってあるんですか?
岡尾 カメラマンにはビックリされるんですけど、「写っていなくてもいいからかわいい写真にしてください」というようなことを言うんです。お饅頭で例えると、お饅頭がちゃんと写ってなくても、お饅頭が“ある”空間がかわいければいいので。空気感みたいのをくみとってもらえたらいいんです。
ゴロー なるほどね、わかりますよ。自分の中で例えるなら、狭い部屋でギターを弾くのと広い部屋でギターを弾くのとでは、なんていうのかな…。
岡尾 なんか、そのときの空気感みたいなのがね。
ゴロー そう! 多分、音楽をやっているよりも、やっていない人ほど、そういう空気感を感じるのではと最近思っていて。普通に聴く人ほど、そういう空気感とか、見えないものとか、具体的に言葉にならないようなものをすごく感じるんじゃないかな。
岡尾 そうやってしか聴けないというか、ゴローさんのこの曲いいなっていうバイタリティのバックグラウンドを気に入って聴いてくれているんじゃないかな。みんな。
ゴロー そうですよね。音楽をやっている人は、聴いているときに細かいほうに耳が行ってしまうというか。
岡尾 聴き方がもう完璧なんですよね! ゴローさんはレコーディングで上海やハワイにも行かれていましたよね。そういうのをリセットするような意味合いも…?
ゴロー うーん。ま、仕事だけどちょっとしたお休みというか、そういう意味もあるんですけど(笑)。でも、実際にギターをそこで弾くと全然違いますね。響きが。音は空気を震わすじゃないですか。上海に行っても、ハワイに行っても、それがすごくいいんですよ。日本でもね、北海道で弾くのと沖縄で弾くのとは響きが全然違うから、音も違うんですよ。ハワイに行ったときは雨季だったので空気がしめっぽくてギターが鳴らないんです。湿っぽいんですけど、楽器は湿度が高いと響きがよくないというか、簡単にいうと音が大きく出ないんです。でもそれはそれで新鮮。いちばん感じるのは、その場所の空気かな。岡尾さんはどうですか?

